お笑い芸人、ピースの又吉さんが書いた「火花」が芥川賞をとり、話題になりましたが、その頃こんな本も発売されていました。
ワイングラス片手に「ルネッサーンス」というセリフが印象的な貴族ネタで一世を風靡した、髭男爵の山田ルイ53世さんが書いた自叙伝。
なんと、山田さん中2から20才まで「ひきこもり」だったのです。きっかけはウンコ事件。せっかく入った名門私立中高一貫校も通ったのは中2の夏休み前まで。彼に何があったのか。彼の人生に度々出てきて邪魔をする神童感。気取らない文体は非常に読みやすく、比喩の表現がすばらしい。
とにかく面白い。
たとえば、彼の言葉を借りると、パンツの繊維の奥にもぐりこんだヤツラから「フレイバー」が教室に漂い始めたシーン。
隣の席の生徒が、「あれ?」となったのが分かった。直接、顔を見なくとも気配で分かった。
時を同じくして、前のヤツの背中が「あれ?」となった。背中で語るとはこのことだ。
もう駄目だった。それを皮切りに、「あれ?」と「ん?」が広がっていく。
オセロなら大逆転。
僕の席に黒を置く。するとその瞬間、盤面を覆い尽くしていた白が、パタパタと次々にひっくり返って黒になっていく。この場合は茶色だが。
引用 「ヒキコモリ漂流記」山田ルイ53世著 p206
すごい表現力。臨場感。
又吉の「火花」より断然面白い。
私は純文学を面白いと思わない人なので、「火花」の素晴らしさが理解できませんでした。芸人が書いた小説と思えば、素晴らしいとは思いますよ。
ウンコで思い出した「ホームレス中学生」、こちらはお笑い芸人麒麟の田村さんの自叙伝です。父親の「解散!」という号令で家族が解散して、田村さんは公園のウンコの形の遊具の中でホームレス生活を始めます。この本も非常に面白い。すごく売れましたね。
「ヒキコモリ漂流記」も「ホームレス中学生」に匹敵するぐらい面白い。もっと売れてもいいと思います。小中高生に読んでほしい。
2018年には完全版も発売されています。
さいごに
リモコン下駄夫さんのブログがきっかけで「ヒキコモリ漂流記」を読みました。
この本のおもしろさについては、こちらのブログのほうが初心者の私なんかより伝わってくると思います。