私は指輪をしていません。
11年ぐらい前の話。
とある会社(工場)が1ヶ月の短期アルバイトを募集していました。
そのころ、私は定職についていませんでした。
1ヵ月間なら、子供の夏休みにもかからないし、家からもバス1本で行ける場所ということもあり、さっそく電話をかけてみました。
すると、そのバイトはもう応募者がいっぱいなので、1週間の夜勤の仕事がありますが、どうですか? といわれました。
夜勤かぁ……、と思ったのですが、夜勤やったことなかったので、好奇心旺盛な私は、まあ、いっか、と思い、面接に出かけました。
会社に行くと、ワイルドにちょこっと髭を生やした若いイケメン男性も来ていて、一緒に面接を受けました。グループ面接というやつですかね。採用担当者と話をして、最後には、二人とも採用です日曜日の夜から来て下さいということになりました。
そのあとです。
「髭は剃ってきてください」
「指輪は外してきてください」
と言われました。
そう、そこは、食品工場なのです。
後で言う?!いまさら、指輪もう外れませんとは言えません。
イケメン男性も、俺のトレードマークの髭剃るのか~と思ったかもしれません。
その頃には、もう太りかけていたので、指輪は簡単に外れないことはわかっていました。どうしよう・・・血の気がひきました。
(太りかけてはいたけれど、プールではまだビキニは着れていました。ビキニが着られるようになったのは産後から。)
どうやって指輪を外そう・・・そんなことを考えながら家路につきました。
その日は確か、金曜日だったと思います。日曜日の夜からの勤務なので、土曜日には外さないといけません。
決戦は土曜日。
石けんヌルヌル作戦
洗面所で、指を石けんでヌルヌルにしてとる作戦にでました。
しかし、そんなことぐらいでとれるわけがありません。
指輪のサイズと指の太さを見れば一目瞭然です。
指輪のところだけは細いけれど、あとはお肉が詰まっています。
心臓より高く手を上げ続ける作戦
手の血がなくなるように手を上げ続けました。
何時間もです。細くなるまで、上げ続けました。
もうだるくて、しんどかったです。
糸で巻き巻き作戦
手を上げ続け、少し細くなった指に糸を巻きさらに細くさせます。
指輪にも何本が糸を引っかけ、指先のほうへ引っ張りました。
こうして、一日がかりで指輪を外しました。
夜勤に集められたのは5人でした。60過ぎと思われるオバサン。40代後半と思われるオジサン。20代と思われるイケメン男性。20代と思われる化粧の濃い女の子。
特に、男性は、なんで短期バイト? 定職ついてないの? と最初は思いましたが、いろいろと事情があるのでしょう。40代男性は、家族がいるみたいだったし、マンションに住んでいて、かわいい犬の写真もみせてくれました。お金はたくさんあるみたいでした。
20代イケメン男性は、結婚していて、生まれて間もない赤ちゃんがいました。お金がないから、電車をつかわずに歩いてきていると言っていました。
20代の女の子は夜の仕事は慣れてる、とか言っていました。
1週間のアルバイトでしたが、おもしろい経験でした。
そうそう、指輪を外したら、独身に見られるようになったので、若さを追究している私としてはよかったです。