またまた、②から間があいてしまいました。忘れていたわけではないのですが、忘れていました。
第11話・ミスターM氏の追憶③
ミスター M氏とれいこは幸せな結婚生活を送っていた。
しかし、れいこには秘密があった。
ミスターM氏と再会したとき、れいこには夫がいた。 夫がいる限りミスター M 氏と結ばれることはなかった。
れいこの結婚は親同士が決めたもので、決して幸せな結婚ではなかった。そして、子供はいなかった。れいこの夫が不能だったからである。にもかかわらず、夫の束縛はひどく、仕事以外で外出することをゆるさなかった。
れいこはミスターM氏と再会したとき、やっと運命の人と巡り合えたと思った。運命の人といっしょになるために、毎日神に祈った。
その祈りは天に届いた。しかし、天から現れたのは、神ではなく悪魔だった。人間の弱みにつけこんで現れるのが悪魔である。れいこは、それを悪魔と認識したが、悪魔のほうは、まったく悪のつもりはなく善魔のつもりで生きている。人間の願いをかなえる善い魔法使いである。見た目がちょっと怖かっただけだ。
れいこは、突然現れた悪魔と、 夫を自然死させてもらう代わりに、悪魔に代わって高齢者を集めるという契約を交わしてしまった。 れいこは、町を自転車で走るだけで高齢者をおびきよせる特殊な能力を悪魔から与えられた。月1回、夫の目を盗んで奄美大島へ赴き、鬼灯様として高齢者を集めた。集めた高齢者を山奥に誘導し、アマミオオタニワタリという幻覚作用のある植物を食べさせる。 集めた高齢者は、どこへともなく消えた。そんな生活が1年続き、その努力が悪魔に認められ、夫は病気で亡くなった。このことは、ミスターM氏には秘密だった。
その後、ミスターM氏と結婚した。
結婚後、50年近く経ち、ミスター M氏が余命3ヶ月と診断された時、再び悪魔はれいこの前に現れた。高齢者の魂だけを集める高齢者専門の悪魔にとって、れいこはいい感じに年をとっていた。1000年以上生きている悪魔にとって、人間の高齢者というのは実は便利な使い道があったのだ。人間の世界で疎まれている高齢者を別の世界へ連れて行って有効に使う――なんていいことをしているのだろうと悪魔は思っていた、社会貢献というより、もっと規模の大きい宇宙貢献をしていると思っていた。
余命3ヶ月と診断されたミスターM氏は機械の体になるためのチケットが欲しかった。しかし、そのチケットは簡単に手に入るものではなかった。
悪魔はれいこに言った。
「チケットが欲しければ、お前の命を捧げろ。ただし1年待ってやる。1年待ってミスターM氏が帰ってこなければ、お前を俺のパートナーとして異世界につれていく。」
れいこは考えた。もし、1年も待って、ミスターM氏が帰ってこなかったら、こんな世界いてもしかたがない。れいこは、悪魔から機械の体を手に入れるチケットを受け取り、悪魔と契約を交わした。
れいこは、知り合いの知り合いの知り合いから購入したといい、チケットをミスターM氏に渡した。ミスターM氏はすぐ帰ってくると言って、ジョバンニ号に乗り込んだのだった。機械の体を得て長生きするために、遠くはなれたアンドロメダ星雲へとむかったのだ。
そして、れいこは1年間コーヒーショップの同じ場所で ミスターM氏を待ち続けた。ミスターM氏が帰って来たのは、皮肉にも1年と1日後であった。れいこが悪魔によって異世界に連れていかれた後であった。
つづく
この物語はフィクションです
あとがき
新たな登場人物、善魔(悪魔)があらわれて、ますます物語は複雑に。
一話完結じゃなくて申し訳ありません。
最近読者になってくださった方、わけわかめですみません。
ブロガー参加型小説です。詳しくは下記のへのへのもへじ氏のリンクへ
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