ほおずきれいこの骨髄ブログ・2nd season

ドナー登録から骨髄提供までの体験を綴った主婦ブログ。一人でも多くの患者さんの命が救われますように。

【小説】第10話・ミスターM氏の追憶②|Hatena Blogger 銀河鉄道の夜

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ひさびさに小説を書きました。

①からずいぶん日にちが経ってしまいました。

 

hoozukireiko.hatenablog.com

 第9話 ミスターM氏の追憶②

 

俺がジョバンニ号に乗るのは3回目だ。

はじめて乗ったとき、俺は30歳だった。

俺は10歳の少年に戻ってやり残したこと、 そう 彼女との再会を果たし、彼女の名前を知った。

そのとき持ち帰った彼女--れいこのハンカチが原因で、地球に着くと俺は70歳に なっていた。

70歳になった俺は、もう一度ジョバンニ号に乗って 30歳の自分に戻るはずだったが 急激な老化で俺の脳は痴呆症を発症し、自分が誰であるかもわからなくなり、ジョバンニ号に乗ることすら忘れてしまった。

奄美大島にいた俺を見つけだし、連れ戻したのはジョバンニ号車掌の桔梗だった。

過去から持ち帰ったものを持ち主のれいこに帰し、俺は桔梗とともにジョバンニ号に乗った。それが、2回目だ。

そのとき、桔梗から相談を受けた。

俺のように老人に変貌した結果、行方不明になるケースが多発している。

早急に行方不明者を探さなくてはならない 。

あらゆる乗り物が乗車フリーになるという IDウォッチを貸与するから協力してくれないかと。

俺は憤慨した。そのようなことが起こっているのに、なぜ「あなたの行きたい過去に行く」という旅を販売中止にしなかったのか。下手したら俺は一生を台無しにしていたかもしれないのに。

しかし、よくよく考えると、国内外フリー、しかもジョバンニ号にまで乗車可能なIDウォッチを貸与されるとあらば、この提案にのらない手はない。俺はもとの世界に戻ったら、れいこを探すつもりでいたから、これ幸いにとその提案を受け入れた。

 そして、その IDウォッチがあったからこそ、れいこを探し出し結婚することが出来たと言っても過言ではない。

 

無事30歳に戻った俺は、れいこを探す旅に出た。奄美大島にも行ってみたが、「鬼灯様」とよばれる女性はいなかった。やはり、れいこが「鬼灯様」と高齢者に崇められている世界は、歪んだ世界だったのだ。

俺は、インターネットや SNSを駆使してれいこを検索し どんなに遠くにでも探しに行った。IDウォッチを使えば交通費はいらない。どんなささいな情報でも、この目で確かめに行ったのだ。

俺は、れいこを探すのに7年かかった 。れいこを見つけたきっかけはれいこが発表した論文であった 。

れいこはロボット技術者だった。アメリッシュという医学工学博士とともに人口子宮の研究をしていた。その研究論文が学会誌に掲載され、検索に引っかかったというわけだ。

 

れいこを見つけることができたものの、れいこには夫がいた。しかし、俺はあきらめなかった。俺は猛アタックの末、れいこを射止めた。れいこも実は俺を待っていたという。なくしたと思っていたお気に入りのピンクのハンカチが、なぜか急に出てきて、重要なものに思えてしかたなかったのだといった。

れいこと結婚したとき、れいこは40歳を超えていて、残念ながら子供はできなかった。

れいこは旅行好きで非常に緻密な旅行計画を立てた。旅行のしおりまで作り、旅行後は アルバムを作った。写真はドロカメと言われるドローンカメラで撮影した。

桔梗から情報が入ると行方不明の高齢者を探しにふたりで出かけた。ふたりで出かけるのは非常に楽しかった。

調査費用として俺は高額のお金を桔梗から貰っていたが、後々考えると、損害賠償請求額の半分にも満たないことがわかった。俺は桔梗に騙されて、まんまとこき使われ、被害者の会に加入することもできなかった。

約半世紀がたち、俺は癌を患った。

余命3ヶ月と言われた俺は、機械の体を得るためにジョバンニ号に再び乗った。

それが3回目、今回である。

機械の体を得るためアンドロメダ星雲にむかっている。

その星に行くチケット は簡単に手に入らない。ジョバンニ号の乗車券のほかに特別なチケットが必要だった。そのチケットがあれば、機械の体が手に入るのだ。

いままでも、ジョバンニ号にはIDウォッチで乗車可能だったが、俺は今日まで乗ることを避けていた。

あの出来事がトラウマになり、どうしても乗りたくなかったのだ。老化し、痴呆症を発症し、奄美大島にいた俺はアマミオオタニワタリを食べて、正気に戻った。そのとき味わった、ジョバンニ号に乗り遅れたと知ったときの絶望感と恐怖が忘れられない。

 

ジョバンニ号に乗っている間は、時間がゆっくり流れる。余命3カ月はジョバンニ号に乗っている限り、あてはまらない。一年かけてでも機械の体を手に入れられれば、何年も長生きできる。

 

機械の体が手に入るという星に行くチケットが手に入ったのは奇跡だった。れいこが知り合いの知り合いの知り合いに頼んだとかで、購入したチケットだった。

 

「ミスターM氏様、おひさしぶりです」

なぜか年をとらない車掌、桔梗が50年前と変わらぬ美しさで立っていた。

(君はいつも変わらぬ美しさだね。そうあのときからかわっていない。

――君は、もしかして・・・そうなんだね。)

そんなことを考えながら、俺はジョバンニ号に乗り込んだ。

少しでも長生きして、れいこといっしょに過ごしたいと願っていた。

 

つづく

続きはこちら

【小説】第11話・ミスターM氏の追憶③|Hatena Blogger 銀河鉄道の夜 - ほおずきれいこの骨髄ブログ・2nd season

あとがき

ひさしぶりの小説だったので、なんだ?この話って方もいらっしゃると思います。

ひとことで表すと「妄想遊び」です。

ブロガーが自由に参加できる「妄想ごっこ」です。

妄想大好きなブロガーさん、いっぱいいらっしゃいますよね?

参加していいですよ!

設定は少々矛盾があってもかまいません。テキトーです。

参加した方には、自分が小説に登場できるという特典付です。

なにがなんだかよくわからないって方は、

奄美大島刃傷殺人事件簿】から読んでください!

 

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