「子ども好き」ってなんなの?
私は学童保育のスタッフをしていますが、はっきり言って、他人の子供はべつに好きではありません。
採用時の面接のチェックシートに、「子どもは好きですか」という質問があり、チェックを入れようか迷いました。私が好きなのは、自分の子どもだけです。拡大解釈してチェックを入れました。
同僚の中には、面接時に「好きではない」と正直に言ったよ!という方もいます。スタッフはみんな「子ども好き」ではありません。「子ども嫌い」を宣言している人もいます。
実際、子育て経験があっても、他人の子どもの面倒を見る仕事なんてまっぴらごめんという人が多いです。だから、求人を出しても応募がありません。学童保育は常に人材不足です。
子どもは悪気なく思ったことを口にし、突然とびついたり、おしっこは漏らすし、ゲロははくし、鼻くそをほじります。スタッフは心と体が丈夫でなければ務まりません。マニュアル通りにしていれば、お給料がもらえる仕事ではありません。「子ども好き」が役に立つ仕事ではありません。
子供は十人十色。100人いれば100の個性があります。
だから、子供は好きですかという質問、意味がわからないのです。
例えば、食べ物は好きですか? とか、人間は好きですか? と聞かれたらなんと答えますか?
好きな食べ物は好きですが嫌いな食べ物は嫌いです。としか答えようがないですよね。好きな人は好きだし、嫌いな人は嫌いです。
子供が嫌いというのは理解できます。「子供が好き」と言えるのは子供を理解していないか、いろいろな子供を見てきてクソガキまでもかわいいと思えるほど達観しているか。
私にとって自分の子ども以外の子どもとは虫と同じです。
子どもは好きですかという質問は、虫は好きですかと聞かれるのと同じなんです。
虫は好きですか? と聞かれたら、べつに好きじゃないけど、カブトムシとクワガタムシとスズムシは好き。ダンゴムシとセミとチョウは普通で、ハエとカとゴキブリは嫌い、といえます。
カブトムシは卵をもらって育てたことがあります。卵から育てたカブトムシは幼虫でさえとてもかわいくて愛おしかったです。それなのに、うちの息子と娘はちっとも世話をしないので、私が全部やっていました。「虫が嫌い」なんでしょうね。
たぶん、虫が好きな人は虫の観察が好きなのです。虫と一緒に暮らしたいとかそういう感覚ではない。好きだから殺さぬように育てるというわけではなく、容赦なく殺して標本にしてきたわけです。「虫が好き」は「虫の観察が好き」ということでしょう。
だから、「子ども好き」は「子どもの観察が好き」ということかもしれません。見るだけなら害はありませんものね。可愛い子供なら見ていて気持ちいいでしょう。不細工な子供なら気持ち悪いですが。
「子ども好き」というアピールは、信ぴょう性がありません。むしろ、私はイラつきます。
他人の子どもなんて、ぜんぜん可愛くはないですが、毎日顔を見ていると、愛情はわいてきます。それは、カブトムシを卵から育てるのと同じです。一年生が二年生になり、三年生になり、成長の様子がはっきりと感じ取れます。
高学年になると、だんだんと学童にも来なくなります。学童には卒業式がないので、別れは突然です。少しさみしいです。ですが、学童保育なんてそんなもんです。
子どもはべつに好きではありませんが、子どもと遊ぶのは好きですか? と聞かれれば好きですとはっきり言えます。「子どもが好き」よりも、遊ぶのが好き、工作が好き、工夫するのが好き、マニュアルなんてなくていい、そんな人が学童保育の仕事にむいています。
観察能力や危険予知能力も必要です。救命救急講習も受けなければならないし、ドッジボールの審判をするのに動体視力も必要です。
あれ? もっと時給高くてもいいんじゃないの?
子ども好きだから、低い給料でも仕事してるんでしょって、思われてないかな?
看護師や保育士、介護士といっしょで、善意にたよってない?
それらのお仕事に比べたら、学童の支援員なんて楽なほうです。
看護師、保育士、介護士には、国が支援してもっとお給料をあげるべきです。コロナ禍のこんなときこそ。
資格をもっていても、資格を生かした職業についていない人もたくさんいます。安すぎるんですよ!給料が!!
話がそれてしまったので、このへんで終わりにします。
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